ハピー・ニューイヤー 2012

新年明けましておめでとうございます.

旧年中はお世話になりました.今年一年が皆様にとってよい年になりますように.
またしばらくはフィルムの入手や現像に困る事がないように...

本年もよろしくお願いいたします.

pig
Salem_2011, Massachusetts USA
iPhone4

P6マウントレンズ

カメラは暗箱.

使い心地の善し悪しはあれど,カメラ自体はレンズが固定できて,フィルム面との関係が保持できる構造になっていれば,まあ,どうでもよいことになります.

プロフェッショナルは別にして,中判フィルムを大量に消費するような撮影を一般ピープルがすることは考えられませんから,機能がきちんとしているのならば写真機の使い心地が大きな問題となることはないでしょう.ましてそれが写真に影響すると考えるのは,まあ考えること自体を否定することはしませんが,その程度の写真を撮影できる能力しかもっていない,ということにほかなりません.カメラのせいにしても写真の質はあがりません.

ところが,事がレンズとなると話はすこーしだけ,違ってきます.
これが古今東西,写真家がレンズの選択に頭を悩ましてきた理由ですし,実際に写真の質に直接に影響するものだと考えます.世の中には「レンズ沼」というものがあるそうですが,一旦そういう沼にはまりこんでしまうと,なかなか抜け出すことができなくなるのは自然のことのように思えます.


Carl Zeiss Flektogon f3,5/65mm, Kiev88CM
Fujifilm Velvia F100

ところで,あるレンズを絶対基準で評価することができるでしょうか.
もちろん物理特性を正確に測定して,その比較をすることはできるでしょうが,数値を見ただけで,はたして優劣を決められるでしょうか?

たとえば解像度は高いほうがよいでしょうか?

これが電子顕微鏡のような詳細観察が目的である機器であれば,解像度の大きさが意味をなすことは確実です.最近では球面収差補正型のTEMが主流で,200kV程度と加速電圧をそれほどあげなくとも,詳細な観察が可能になり,じつに0.08nmという分解能が得られています.

一方でディジタルカメラの議論の一つに解像度というものがあります.技術の進んだ現在では,だいたい撮像素子の違いと言ってもいいものですが,この数値が大きいほうが良い写真を生み出すものでしょうか?

写真は最終的には観賞するものだと思いますけれど,その善し悪しの判断は感性によるもの,すなわち好き嫌いで判断されるものとすれば,かならずしも克明に写っている写真が良いとは限らないように思えます.実際にヘタウマという訳のわからない写真がありますが,でたらめにブレて,おまけにピントがどこにもないような写真もありますが,それらを支持する人たちもいるのだと思います.それが「げーじつ」と言われるゆえん.



中判カメラでは標準レンズと呼ばれるものは,35ミリを基準にすれば中望遠レンズに相当するものです.それを手持ちで撮影すれば,どんな高性能なレンズでも克明な写真を撮影するのは困難でしょう.さらに悪条件かさなる絞り開放での撮影なら,ピンボケ,手ブレのオンパレードとなることは必至です.しかし,これらの写真が悪いものであるかどうかの判断は,それを見る人に依存すると思います.ま,それでもハッシーのSWCじゃないかぎり,6x6以上の中判を手持ちで撮影するのは無理があります.せめて一脚は添えたいものです.

Mir-26b f3.5/45mm, Kiev88CM
Fujifilm Velvia F100

この6x6フォーマット用45ミリレンズは,30mmの魚眼レンズ等の特殊なレンズを別にすれば,P6フォーマットでもっとも広角なレンズです.35ミリ換算して25mmのレンズになります.手本にしたと考えられるCZのFlektogon 50mm(こちらは28ミリ換算)よりも5mm広くF値も0.5明るいという張切った仕様になっています.

先日の記事ではオリジナルの50mmの写真を掲載しましたが,こちらの二枚も同様なテイストになっています.同じ血を引いている特徴として樽型収差が見られますが,この構図ではあまり気になりません.

本記事のレンズは二本ともモノコートのレンズですから,直射が入るような条件だとフレアが暴れてしまいますけれど,順光であればこのようにクリアな描写をします.コントラストの落ち方も基本的に同一なテイストですが,ロシア製のMir-26bのほうがシャドーの階調に優れているように見られます.これは手抜きの鏡銅処理やいい加減なコーティングによって「ハレ」ていることが原因と考えられます.

マルチコーティングによる無駄な反射を極限まで軽減することは重要ですが,それがかならずしも良い写真につながるわけではないという例証であろうと思います.Leica用のオールドレンズを好まれる人が多い.モノクロで撮影した場合のトーンの出方が良好なのが一つの理由ですが,これがフレアによるものであるのはよく知られていることです.

キエフ・ノ・ススメ2

ついにブログ開始以来貫いてきたカタカナ表題の原則が崩れてしまいました.
ま,かなり無理があるんで,そろそろと思っていたのですが...

さて,前回のKiev88CMとKiev88C改の記事のつづきなんですが,Figure 4のキャプションが欠けてしまっていました.このブログ,一時はオフラインのブログツールつかって構築して,それをftpでアップするということしていたんですが,いろいろ不都合があって,web上で直接入力しているんですが,キャッシュの扱いがうまくないために,バージョンの不整合が生じてしまう問題があります.結構アノイングなのですが,そのうち根城自体を引越すかもしれません.というよりも,ブログやめちゃうかもしれませんけれど...

で,下図fig. 4は二機種の上面図だったわけですが,ごらんの通りフィルムマガジン接続部に違いがみられます.フィルムマガジンがハッセルシステムと同様に取り外し交換可能なのが左のKiev88CMで,丸いボタンが二つ見えています.向かって左側のボタンがマガジン着脱用で,ダークスライド装着しないと取り外せないような安全機構がついています.一方右側のボタンはマガジンを外さずにフィルム交換するためのリアカバー開のためです.こちらには小さなロックレバーがついていて,レバーをレンズ側に回転させつつ,ボタンを中央側にシフトさせることでカバーを開けます.

top


一方で,右のKiev88C改は前回の記事の通りマガジンが交換できないため,ボタンの部分がそっくりパネルに交換されており,右端にリアカバー開のためのスライドが付けられているだけです.悪いことに安全ロック機構が省かれていますので,撮影中に不意に開いてしまうことはありえます.実際,前回の撮影中に開いてしまい,フィルム4コマ分無駄にしました.まったくなにを改良したんでしょうかねえ...


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さて,ここからが前回の続きです.Kiev88カメラのマウント部の違いについて答える前に,まずP6マウントについて少し解説しておきます.


con師匠が前回記事にコメントされていますが,Pentacon-sixマウントはブリーチロックマウントと呼ばれるタイプで,同じ会社から発売されていたPraktinaという35ミリシステムの比例拡大版のマウントになっています.このメーカーにはM42マウントのPrakticaというシリーズもあるんですが,このあたりは東独のカメラメーカーの変遷がからんでいるので,興味ある人はその手の文献を参照されることをお勧めします.


実はこのP6マウントは第二次大戦が終わっても生き長らえていたために,高機能化(露出の自動制御関係)のために,シンプルなオリジナルよりも進歩していろいろな機能が付加されてきました.


下の写真を見てください.上がオリジナルのP6マウント(旧ソ連製のレンズもこのマウントです)です.黄色の矢印はセンター合わせのノックピンです.青色の矢印は被写界深度確認のための絞り込みレバーになっています.


一方,下がP6マウント最終バージョンのシュナイダー製のレンズマウントです.これはExakta66という自動化がされたPentacon-six属最後のモデル用のレンズでした.ドイツの東西統合により東独ツァイスの流れを汲むPentacon社はシュナイダー社に吸収(助けてもらった)されたことが理由です.


そのおかげでこの古いマウントに,シュナイダーの現代設計の最高性能レンズ群が供給されたわけです.一部ではアナウンスだけで終わったレンズもありますが,すくなくとも4種類が市場に供給されたようです.これら至高のレンズ達はP6マウントの他には,Rolleiの電動マシンの6000シリーズだけにしか用意されていない貴重かつ高価なレンズでした.


figure 1: P6 lens mount detail, Arsat 2,8/80mm (upper) and Xenotar 2,8/80mm (lower) 

赤矢印は露出オート化のために,レンズの開放F値をカメラ側に機械的に伝達するための機構です.青矢印は絞り込み装置になっています.上のオリジナルとは場所が変わっているのと,形状が変化していることに注意です.


下の写真がその絞り込みメカニズム部分を拡大したものです.レンズが大型化しているので,そこに組み込むことができたのです.
figure 2: DOF lever of Schneider Xenotar Lens for Exakta66
シュナイダー製のXenotar 2,8/80mmの絞り込み装置部の拡大写真.



Kiev88Cはハッセルのオリジナルマウント(1600Fマウント)から派生して,そのカメラでP6マウントのレンズを使うために改造されたものですから,シュナイダーの現代レンズを使うことは想定されていませんでした.下の図はKiev88CM(切り欠きあり)にオリジナルのCZ Biometer 80mmレンズをマウントしたものです.

ごらんの通り,レンズのマウント部には十分なスペースがあります.これはオリジナルレンズの絞り込みレバー(fig.1参照)の干渉を防ぐために設けられたものです.これだけなら,周囲のリムを削り取る必要はありません.
figure 3: Carl Zeiss Biometar 2,8/80mm mounted on Kiev88CM (no DOF lever in bottom)


P6マウント最後の末裔,シュナイダーレンズを使う上でここが問題点になっています.下の写真をみてください.

上側がKiev88C改(といってもオリジナルKiev88Cと同じマウント)にシュナイダーレンズを不完全に装着した(レンズはロックできません)ものです.ごらんのように,ノックピンと正反対位置(底部)にある絞り込み装置とカメラ側マウントのリムが干渉して,レンズを正常に装着することができません.


figure 4: Schneider Xenotar 80mm lens mounted on Kiev88C modified by Hartblei (upper) and mounted on Kiev88CM (lower)

下側はKiev88CMのもので,このリム部分が削られています.(黄色矢印の間部分が削り取られています)そのために,絞り込み装置が干渉することなく,シュナイダーレンズがきちんと装着できています.

この改造がされていないCMも存在するようですが,要は機能上問題のないレンズマウント下部リムの一部を切削加工すればよいだけなので,万一そうなっていない個体をおもちで,シュナイダーレンズを使いたい方は,現物合わせでリューターなどで切削加工してしまえばよいわけです.ここはアルミ素材なので電動工具があれば苦もなくあっという間に削れちゃうと思います.

なお,シュナイダーレンズに特徴的な絞り込みメカニズムのレバーですが,オリジナルのExakta66で使うことに問題がないのは当然ですが,Pentacon-sixやそのコピーであるKiev60Cでも問題はまったく生じません.

もしこの記事を読んで,東独ツァイスの中判レンズを使いたいという人がいるのなら,Kiev60系をお勧めします.とくに重要なシャッター関係はKiev88系よりもはるかに信頼性の高いシステムです.

キエフノススメ

表題にススメとありますが,最初にキッチリお断りしておきます.
この記事を読んでキエフカメラを使う場合には,どうか自己責任でお願いします.筆者はその結果にいっさいの責任を負わないことをここに明記しておきます.



キエフはウクライナ共和国の首都ですが,その名前を持った写真機群がありました.

過去形なのは,2011年末の現在では,一連のキエフカメラを製造したアーセナル社は民生用の写真機を作っていないと思われるからです.沢山のキエフカメラがありましたが,今回の話題は6x6フォーマットの中判カメラ「Kiev88」についてです.

このカメラはスウェーデンのHasselblad社の初期型フォーカルプレーンの1600F(1000F)カメラのデッドコピーと考えられています.ただしレンズマウント(オリジナルのハッセルはVシステムとは違うマウントです)については微妙な違いがあるようです.小生の友人である,れんずまにあ氏は,両者に互換性はないという結論にしているようです.場合によっては,不完全ながら使えないことはないらしいですが...

さて,このハッセルのコピーと言われるKiev88ですが,ペンタコン社の6x6一眼レフであるPentacon-sixに用意された,東ドイツのCarl Zeissのレンズが使えるようにP6マウントを持つ製品がアーセナル社において製造されました.それがKiev88Cであり,その最終版のKiev88CMです.

幾多の旧ソ連カメラの例に漏れず,これらKiev88C(M)にも沢山のバリエーションがあるようですが,今日はKiev88Cの欠点であった,フィルムマガジンをHartblei社で改良(と彼らは呼ぶ)したKiev88C改とアーセナル社の最終型であるKiev88CMの比較をしてみます.(どうやらこれらの違いについて言及したブログってないようなので...)

Hartblei社は何を改良したんでしょうか....
まずは正面からの写真.なお,以下の写真はすべて左側がKiev88CM,右側がKiev88C改です.
front
Figure 1: front view of Kiev88CM (left) and Kiev88C modified by Hartblei (right) 


次は左側面.CMにはウエストレベル,Cにはプリズムファインダーを装着してあります.
Fig.1およびFig.2を見てわかるのは,CMになって,フィルムワインディングノブにクランクが装着されていることです.Cはハッセルには無い「摘み」が付けられていますけれど,ノブにローレット加工がされております.
lside
Figure 2:  Left side view, Kiev88CM (left) and Kiev88C modified (right)


下のFig.3は右側面の比較です.Fig.2の左側面と比較してこの右側面には明瞭に違いが見て取れます.最終型のCM(左)はマガジン接続部がハッセルと同様に露出しており,ダークスライドがありますけれど,それより前のタイプのCをHartblei社で改良した右側には接続部が見えません.ゆえにダークスライドもありません.

rside
Figure 3: Right side of Kiev88 cameras, Kiev88CM (left) and Kiev88C (right)

これは一見するとRollei SL66と同じような構造に見えます.これがHartbei社の改良部分であると思います.これによりダークスライドレスの仕様になり,ハッセルの欠点の一つであるダークスライドからの光漏れによるフィルムの露光問題が解決したのでしょう.

しかしながら,マガジンの後部にダークスライドの収納部品は付けられたままです.フィルムインジケーターをかねているし,マガジン部品をそのまま流用しているのでしょう.

top
Figure 4: Top view of Kiev88 cameras, Kiev88CM (left) and Kiev88C (right)


底部の比較です.Kiev88C改にはアーセナル社のロゴと製造番号が刻印されていますが,最終型のKiev88CMは刻印がマガジン接続部にあって,外部からそれを見ることができません.
bot
Figure 5: Bottom view of Kiev88 cameras, Kiev88CM (left) and Kiev88C (right)


Kiev88C Hartblei改良品のマガジン部.
C mag
Figure 6:  Film magazine of Kiev88C modified by Hartblei

左に見えるのが,マガジンのフィルムスプール部です.このように巻き上げ部分が方持ち方式になっていて,巻き上げ機構が本体側にあるRollei SL66のマガジンとは構造が違います.
なお,このスプール部はKiev88CMと共通です.Hartbleiの改良とはKiev88CMのマガジン(これがオリジナルのNTマガジンというものですが)を,強制的にボディーに付けてしまったような構造になっています.

この改良の理由は前述の光漏れのように想像しますが,逆にこの構造のために,複数マガジンに別々のタイプのフィルム(ポジとネガとか,カラーとモノクロとか)を適時交換するということが出来なくなっています.それなら,Pentacon-sixのコピーであるKiev60Cを使えば良いように思えますが...


下図二枚は最後の違いである,マウント部の比較です.
CM
Figure 7: Detail view of Lens mount of Kiev88CM


C
Figure 8: Detail view of Lens mount of Kiev88C modified by Hartblei

違いがわかりますか?
この違いの理由については次回記事にします.ふふふ.

最後にこのカメラとCZの広角レンズで撮影した写真を下に示します.
アーバンシティー
Carl Zeiss Flegtogon MC 4/50mm, Kiev88CM: Kodak Ektar 100 film


アメヨコ

まもなく師走.
師走といえば,まっさきにアメヤ横丁でしょう.

いわゆる「アメ横商売」の元祖ですが,今日では,お上りさんでも引っかからんだろう,と思いきや,相変わらずの盛況でした.


かれらの言語から判断し,おそらくは日本人ではない人が群がっているんだろうなと想像します.しかしアメ横商売は銀座の中央通りでさえお目にかかれる由緒正しい日本の商売方法なんだろうと思います.(地方の人はわからんだろうな...)


Sigma 12-24mm EX DG Aspherical, Pentax K-7 (18mm相当)

このレンズは,35ミリフルサイズをカバーする画角をもつ,超広角ズームレンズです.
この手のズームの広角端は,むちゃな歪曲修正がされていることがほとんどなのですが,このレンズだけは例外的に素直な歪曲です.価格が二倍以上するメーカー純正の相当レンズより,実は性能が高いという.ま,素直に考えれば当然なのですけれど(そうじゃないと存在意義がない)

実際,都市写真でプロでもよく使われるレンズで,歪曲が素直なため修正も楽という定評があります.今回のような構図では修正の必要はまったくない,高性能なズームレンズです.

近年アメ横も,中国や韓国だけでなく国際色が豊かになりました.そのあたりは秋葉からの派生のように見受けられます.ごらんのように若者でにぎわっています.
大阪のパワーとは違った密度の濃さを感じます.こういう場所はどでかいズームと一眼レフというのはあまり似合わないのですが,闇夜に乗じてすなっぷするのにはK-7の静粛なシャッターは好ましいです.

小型軽量が売りのK-7ですが,このズームレンズは重く,大きいのが難点でしょうか.
ペンタックス純正のDA15mmLTDレンズならば,RFカメラのように街を切り取る感覚がえられるとは思います.14ミリにしてくれれば21mm相当だったんですがねえ...

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